天気雨

  L'Écume des jours

ものがたりのはじまり(あるいは、おわりのつづき)

この二年間、随分と本を読んだ気がする。その分、自分の言葉は森の奥の静かな泉に沈んでいた。時折それを掬おうと試みるのであるが、指の隙間からするするとこぼれ落ち、また水の中へと消えていった。

私にはインプットの時期とアウトプットの時期とがある。私はこの二年間ずっと何かを吸収し続けていたのかも知れない。瞳から、鼻腔から、鼓膜から、唇から、肌から。

今朝ラジオから流れてきた曲を、いつかあなたが聴くかも知れない。私が歩く理由は、おわりのつづきを語るためかも知れない。