天気雨

  L'Écume des jours

旅のしたく

旅のしたくをしていた。一人旅。自分が精神的にツーリストなのかトラヴェラーなのか考えようと思う。西へ行く。(まるで三蔵法師ではないか)

持参する本は、


胸の奥のほう奥のほうが苦しがっている。軋む音が耳鳴りのように聴こえる。

しかしどういうわけか柔和な心持ちでもある。沈んだ言葉にプツプツと気泡が立ちはじめている。

「いってまいります」と言い忘れたまま待合室を出てしまったことが心残りである。でもオルフェウスのように振り返ってはならないのだろうと思う。今は。